綿織物トラブルの解決方法 綿生地の縮み 色落ちについて
2020.11.29
綿織物トラブルの解決方法 綿生地の縮み 色落ちについて
綿生地を、購入した生地でトラブルありませんか?
①生地が縮む
②色が落ちる
このようなことは、比較的起こりやすいトラブルです。
でも、テキスタイル知識を知れば、このようなトラブルを、かなり減らすことができます。
では、問題、原因から解説していきます。
①生地の縮む
綿織物は、縮みやすいのが特徴ですが、洋服を作るのには、大きな問題だと思います。
なぜ、綿生地は縮むの原因は,
・綿の原料が、中繊維綿、短繊維綿の綿糸で織られた生地は、比較的縮みます。
・生地が、未加工のものは、絶対あぶない(洗濯機で洗った生地)
要するに、この2つが、ほぼ原因と思われます。
綿の質もありますが、綿糸が太くなるほど、繊維長が短くなります。短い繊維綿になるほど、その糸で織った生地は、硬くなり縮いが出ます。
硬くなる生地の代表は、デニム素材です。
中繊維綿、短繊維綿などを使っているので、デニムは、硬くハリのある商品になっております。
裾直しは、個人的には、一度、自宅で洗濯してから、お店に持っていく裾直しを行います。なぜ、というと、新品のデニム裾直したら、その後、洗ってみたら短くなる経験があるからです。
デニムが悪いわけではなく、短繊維綿の特徴になります。
また、デニムは、歴史的に、短くなることが常識になっていますので、クレームにはなりませんが、一般的には、デニム以外の製品でしたらクレーム対象になります。
その他には、コーデュロイも同じなので、注してください。
原因は下記の通りです。
・未加工のもの(生機を洗濯した生地)
これは、あくまでも、私からの判断ですが、絶対NGですね。
特に、イベントで販売している産地展の生地は、要注意ですね。生機(未加工)のものを販売しています。それを購入すれば、生地が10%位の縮が起こります。
洗濯機などで、糊落を落としたものは、とても風合いが良く感じますが、洗濯機で洗った程度では、生地の縮みは簡単に防がれません。
製品すれば必ず縮みます。何回か洗濯すれば、最終的には縮みはおさまりますが、縫製する場合は、リスクが高くなります。
そもそも織物工場さんは、染色加工の知識があまりないからです。織物工場は、分業になります。染色や仕上げ加工のことが分かっていないのです。
できれば、勉強して欲しいのです。生機を洗濯機で洗って、販売するのは、お客様の信頼を失うことと、遠州織物の産地評価が落ちることです。
現代段階でも、世界でも、有名な遠州産地と言っている人達もいますが、やはり、30年前に比べたら遠州産地の評価は落ちていると感じます。
では、織物産地展で購入するには下記のことを注意してください。
・産地展で織物工場さんから、買った生地は、何回か洗濯してから使ってください。
・織物産地で織物工場さんから生地を買う場合は、生機か、加工済みを確認してから購入する方がいいです。
では、どんな生地を買えばいいのか?と言うと
・生地は、信頼している所から、購入するこです。
例えば、HP見て、直接、アパレルとの販売をしているところを探してください。
アパレル直販している織物工場は、生機を洗濯機で洗ったものは販売しませんし、アパレルには、必ず、品質検査表を出す場合が多いのです。
ニッセンケンとかボウケンなどの機関がありますので、そこで試験を出します。そこで、検査で縮率(縮み)検査が通らなければ、もう一度、仕上げ加工に出します。もちろん、検査が通るまで、何度も何度も再加工します。
又は、生地問屋さんからの生地購入は、お勧めです。
アパレル、小売り、商社などの、一番基準の厳しいところに生地を販売している実績があるからです。
現実は、綿素材は、糸の構造状、生地は縮みます。そのため、生地問屋さんは、生地の縮率には大変苦労しています。だからこそ、品質を管理を強化しているんです。
面白生地でも、検査が通るまで、あらゆる加工して合格させているんです。その解があり、アパレルは、安心して生地購入しているんです。
生地が縮みにくい生地を紹介しましょう。
・シルケットのされている生地
シルケットとは、マーセライズ加工と言います。基本的には、綿織物をシルク感のある光沢を出すための加工です。
この加工すると、縮率が良くなります。
・サンフォライズ加工してあるものです
サンフォライズ加工とは、織物生産の仕上げ工程で行なわれる防縮加工の商標になります。 織物は生産工程を通じて強く延伸されておりますので、綿素材を染めも、湿潤したり洗濯することによって収縮する傾向をもつています。 この欠点を回避するため,織物に水蒸気を吹きつけたあと回転するシリンダとブランケットの間を通し,布を積極的に縮めて,寸法の安定化をはかるものです
・染色加工場のタグの着いている生地は信頼があります。
シルケットが、どうしても好きでは無いという方には、洗濯機のものと、加工場のものと判断ができませんので、丸巻生地には、加工場のタグが必ず着いていますので確認してください。
それが目安になります。
シルケット以外の生地は、縮む可能性がありますので、後は、買う前に、生地縮率を販売員に聞くのも手だと思います。答えられない場合は、少し危険だと思います。
生地を販売しているとか。工場であるとか。の判断で信用しない方がいいかもしれません。
まとめ
綿生地は、基本的には縮みますので、一般の人は、この説明でも難しいので、洋服1枚分の生地を、必ず洗濯することをお勧めします。しかし、面倒だからと言って10m単位で洗うより、短めで洗濯したほうが、生地の経緯の縮率が良くなります。
②色落ちですね。
これは染料でも、違いがあります。
①反応染料 ◉良好
反応染料は、「染料」を使用した染色のメカニズムは、繊維に染料を化学的に結合させて染色するため、繊維の内部にまで染めることが出来ます。染料は繊維の奥まで色がしみ込み、適切な加工を施すことで、洗濯やクリーニングを行っても基本的には繊維から色が抜け出さない安定性を保つことが出来ます。綿織物は、現在は、この染料を使用しています。
この染色方法のほうが、すべて安心です。現在は、アパレル生地を販売するものは、反応染料のものが圧倒的に多いです。
②直接染料 ▲色落ちではないですが、色変化が激しいです
その名の通り、水に溶かして綿や絹を「直接」染めることができる染料です。 一般的に、汗・洗濯・日光などに対する染色堅牢度が低いといわれていますが、最近の直接染料は比較的、堅牢度が高めになっています。 色の鮮明さにおいては、他の染料よりは劣ります。
直接染料は、日光にあたると、色が抜けたように、日光が当たった場所が、生地が白くなります。色が抜けたよりは、変色しただけです。この染料は、アパレル販売には向いていないと思っています。一般に人が染めやすい染料なのです。この染色は、プロの私なりにはNGになります。
③顔料染料 ✖確実に色が落ちます
顔料染料は、粒子で染めますので、どちらからだと、糸や生地の表面に張り付いていると思ってください。溶剤に溶ける着色剤を染料、溶けないものを顔料といいます。
洗濯をすると、一気に染料が落ちますので、かなり酷く白くなります。
インディゴも顔料になります。
色落ちのまとめ
・色落ちにくいのは、反応染
・蛍光灯、太陽光などで、色が変色するのは、直接染料
・染色粒子が大きくて、生地に張り付いているので洗濯すると色落ちがするのが、顔料
基本的には、綿織物の生地は、色落ちがしますので、ご了承ください。
おまけ
Youtubeで、テキスタイル講座を行っていますので、是非、見て下さい。
https://www.youtube.com/watch?v=8MMsSNtqrGU&feature=youtu.be