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TEXTILE COLUMN福田織物のテキスタイルコラム

遠州産の生地は、なぜ価格競争には勝てないか? 遠州織物工場のテキスタイルデザイナーが解説

2021.05.11

遠州産の生地は、なぜ価格競争には勝てないか?

アパレル製品98%が、海外から輸入されているため、残り2%が、日本製となる。

もう、ほとんどが、アパレルは、日本製の生地を使用していないのが現実である。

とくに、中国の新疆での綿製品が主力になって、国内に製品として輸入されている。

 

では、残りの日本製2%の生地を生産しているのは、下記の17か所である。

栃尾、見附(新潟)、米沢(山形)、桐生(群馬)、富士吉田(山梨)、北陸(福井、石川、富山)、遠州(静岡)

丹後(京都)、西脇(兵庫)、泉州(大阪)大阪南部(大阪)、湖東(滋賀)、尾州(愛知)、三河(愛知)、知多(愛知)、今治(愛媛)、筑後・久留米(福岡)

がある。

この日本の産地から、綿織物、絹織物、麻織物、毛織物、合繊織物などが、生産されている。

そして、国内だけでなく、海外にも、たくさんのラグジュアリーブランドに生地販売している。

残念なことに、日本の生地は、国内アパレルから、見放されているのが現状である。

その理由は、

価格競争には勝てない

からである。

では、何故、昭和から平成になってから価格競争力がなくなってきたのか?

なぜ、事実を正しく把握しなければいけないのか。


【目次】

①設備投資をおこたった。

②多品種少ロット生産が産地をシュリンクさせた

③産地の分業制が壊れた

④競争力をつけるには?

⑤まとめ 私の偏見な見方で・・・


円高による競争力を失う

プラザ合意とは、1985年9月22日にアメリカ・ニューヨークのプラザホテルで行われた、

G5(日本・アメリカ・イギリス・ドイツ・フランスによる先進5カ国蔵相・中央銀行総裁会議)によって、

過度なドル高の是正を目的に行われる、外国為替市場での協調介入、協調行動への合意です。

ここから、日本の繊維産業は、円高のため、価格競争力が落ち始めた。

1985年前までは、260円だったの現在では、108円になっている。

1996年からは、中国の生機が、国内で染められれ、そして

2000年からOEM,ODMによる海外(中国がメイン)からアパレル製品が輸入されるようになった。

ここでは、簡単に説明だけにしたい。

①設備投資をおこたった。

ファクトとは、ビジネスの場において「事実」といった意味で用いられる言葉になります。

何か事業などに関して確認したいことがある場面などで「この内容はファクトなのか?」というような形で使うことができる言葉になります。

数値からの話をしているのか?と意味になります。

では、遠州織物産地の例を上げましょう。

1979年には、国内の織機メーカーが、革新織機(エアージェット、レピア)といった織機を開発に成功し、販売を本格的に販売を行いました。

日本全国織物工場に、革新織機の導入が始まりました。

1979年までは、99%が、遠州産地は、シャットル織機でしたが、一部の織物工場は、革新織機が入りました。

1979~2000年までは、遠州も、革新織機が少数ですが導入されました。

しかし、革新織機の初期型は、トラブル製造機だったのが事実です。

当時の革新織機の1台単価は、約600万円位でしたが、賃織りの織物工場にとっては、とても高価な投資でした。

やはり、6台購入すれば、付属品も含めて4500万円位費用が出たはずです。

当時の一般的な織物工場の売上は1,000~2,000万円規模でしたので、投資と言ったよりは投機的に導入に近いものでした。

一番初めたチャレンジャーは、織機不具合から、ダメージをかなり受けて、倒産、廃業になりました。

また、計画的に入れてないので、仕事が減ると、借金苦で止める工場もありました。

これが、遠州産地では、たった数社が廃業、倒産から、「革新織機を入れると潰れる。」と言いふらし始めたのです。。

そして、高速で織は、風合い悪いと言って、遠州産地の生産イノベーションが起こらなかったのである。

今でも、高速織機で織ったところが潰れた。と言っているのが現状です。。

事実は、革新織機エアージェットの場合は、1990年代は、賃織りで月1台あたり35~50万円以上の売上がありました。

一般のシャットル織機は、賃織りで月1台あたり、7~10万円位の売り上げです。

6台あれば、月300万円、年間3,000万円以上の売り上げがあったので、父ちゃん母ちゃんで2人でやるには、儲かっていたのである。

現在の、エアージェットの月の売り上げはわかりませんが、決して高速回転の織機だから廃業になったわけではありません。

事実は、2つ

●投資が計画的でなかった。

●革新織機は、初期型は、トラブルが多く不良商品を多発していた。

問題は、この2つが、初期に革新織機を導入したところが、倒産、廃業が進んだのです。

数値的でいえば、ここ20年間は、圧倒的にシャトル織機の織物工場の廃業が進んでいたのです。

今は、ほとんどが、遠州織物で織っていた織物は、革新化に成功した、泉州、大阪南部、西脇に仕事が流れています。

遠州産地は、平成時代に入ると、次第に競争力が失われ、海外だけではなく、国内でも、競争力を失っていきました。

 

②多品種少ロットが産地をシュリンク(縮小)させた

遠州産地は設備投資をしなかったため準備関連が設備が昔のままです。

昔のままの、大量生産時代の古い設備で、効率の悪い少ロット生産をしているのが現実です。

シャトル織機は、大変万能で、少ロット向きなのですが、

しかし、残念ながら織物準備関連が、少ロット生産の対応型ではないのです。

原因は、同じ生地でも、10,000mやるにも、100mやるにも、同じ手間がかかるのでです。

また、遠州は人海戦術で、少ロット生産をしたいるため、コスト高、納期が長いなどが、世界的に、圧倒的な後れをとっています。

だから100m生地は、10,000mで生産されて生地より、かなり高単価なものになります。

他の産地では、整経などは、Iotになっており、コンピューターで無人で、サンプル整経をおこなっています。

それも、コンピューター制御でやることより、複雑な柄を、5~10倍のスピードで少ロット生産を行い、コストを軽減させます。

残念ながら、遠州産地は、織物、整経、サイジングの技術革新、設備投資を怠ってきたばかり、時代に取り残されてしまいました。

準備工程、染色加工などが、ここ数年で、かなり準備、孤高単価が上がりました。

だから、遠州産地では、安い生地が作れなくなってしまったのです。

 

③産地の分業制が壊れはじめてきた。

織物工場は工賃が低い、仕事量が少ない、そして少ロット生産ため、未来が見えない状況にある。

だから跡継ぎがいなくなる、そして廃業が進んでいく。

生地が少なくなれば、自然に分業体制はシュリンクしていく。

そして、分業体制の事業者も、同業者の数が少なくなると、競争原理が働かなくなるため、加工単価を上げていく。

更に生地単価が上がることにより、他産地に工賃仕事が流れる、悪の循環になってきた。

私の本音は、分業加工、工場などの加工値上げを上げず、我慢してほしい、と願っている。

 

④競争力をつけるには?

答えは、

織物工場を減らさず、稼働率ではなく、生産率を上がること。

を考えるべきです。

少ロット生産を追いかけると、織物工場が減っていくなかで、ロスだらけで、分業が利益出ないわけですので、

少ロットではなく、中ロットというのでしょうか?

100m生産を10倍の数量1,000m生産になるれば、2~3倍の生産効率アップができるわけです。

1,000mから2,000mになれば、更に生産効率があがるのです。

そうなると、染色、サイジング、整経、経通しなどの事業者は、生産が増え、効率も良くなるため、売上が伸び、利益は出てきます。

今の古い設備でも、絶大な効果がでます。

仕事量が、増えて安定すれば、事業者は、人手のかからないような、最新設備を導入を行い、品質をアップさせながら

コストを抑えながら利益がでてきます。

だから、遠州産地は、コスト意識を持って、産地全体で考えるべき時期にきたのです。

 

稼働率とは、いい加減の数値です。

しっかり生産量を増やしていけば良いのです。

遠州産地で、いろいろ補助機を投入しているけど、効果がでた報告がありません。

もう少し、現実的に考えるならば、遠州織物サプライチェーンをどのように残すのか?

真剣に考えていかなければなりません。

 

⑤まとめ  私の偏見な見方で・・・・

私から言えば、遠州織物産地は、完全に脳停止が起こっていると思われます。

遠州織物は、シャトル織機の産地で進むべきだだと思います。

今さら、革新的イノベーションは難しいからです。

 

一部の織物工場ではなく、広い範囲での織物工場にメリットがあるように補助金を使い、遠州織物のサプライチェーンに投資するべきだと思っています。

①産地全体が、コスト意識をする。

②ロットは、なるべく大ききする努力をする

③設備投資をして、品質と生産性向上させる。Iot、デジタルトランスフォーメーション化を目指す。

 

後は、どこにも真似されないようなテキスタイルを開発することです。

ここには、価格競争はないからです。

 

 

 

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