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TEXTILE COLUMN福田織物のテキスタイルコラム

遠州織物の海外販売について

2020.02.19

遠州織物とは?

静岡県、浜松市=遠州産地と思われていますが、御前崎市、掛川市、袋井市、磐田市、浜松市、5市が、遠州織物の産地になる。

遠州産地は、従来は、綿、化繊の産地として、昭和時代は、欧米向け90%比率で、輸出をしていた。現在は、輸出比率は数%しかなく、正式なな数字が発表されていないのである。

そこで、輸出の話になるが、遠州織物は、海外をやっているというけど、誤解される情報発信されている。

その前に、遠州織物産地の構造を説明する。

97%以上が、賃織りなのである。  下記の図を見ると、緑になっているところが織物工場になり、太い矢印の先が、産元になる。枠で囲ってある場所が遠州産地で生機が生産されている。

生機(きばた)とは、染める前の、生成り色した生地のことを言う。その後、生機を精練、晒を行ってから、染色加工する。

最近、遠州産地の織屋が、海外のブランドの生地を織っているような話がある。確かに、織っているのは事実で、実は生機だけである。商社や生地問屋が、織物企画を、産元に出して生機を織れせている。生地企画、糸の購入、染色加工などは、商社、生地問屋が行っているのである。あまりにも情報がいい加減かは、パリコレ、ミラノコレクションなど使用と書かれているものもあるが、この産地の中にいて、どこのブランドが、どのようなテキスタイルを使用されているのかは情報が入ってくることはまずない。例えるならば、ネジをポルシェに使用されているだけで、ポルシェを作っているような情報を流しているようなものだ。国内アパレルや、デザイナーが、期待して産地に来られるが、情報と現実の違いで落胆するし、遠州産地の信頼度がなくなっている。一般の人達には、凄いと思われているが、プロのアパレル業界は、遠州産地をどのような目でみているのだろうか?心配になる。要する正確な情報を上げて欲しものである。

では、どのような海外販売をおこなっているのか?

賃織工場:上記の図のように、産元が、商社、コンバーター、生地問屋から、海外販売する生機を受注する仕組みになっている。そして、賃織りの織物工場に依頼をして生産した生機を、商社などにとどけることまでの仕事になる。賃織の織物工場は、海外の有名なブランドの生機を織っていることは、ほぼ知らずにいる。なので、調べれば99%以上の賃織りの工場は、直接ではないが、海外のアパレルの生機を生産している。遠州産地の賃織りの技術はTOPクラスであることが実証されている。

生機売買産元、織物工場が、自社企画で生機を生産して、商社、コンバーター、問屋に売って、海外販売ケースである。生機までなので、海外のアパレルには直販してない。自社で染めてないので、生地の最終風合い、色、プライスなどはわからない。

直接海外に販売自社で、織物企画、染加工、海外の展示会、輸出まで行うことまでやる。海外ブランドとのコミュニケーションをとり、相手先から依頼された色を染め、プライスも自社で決めて販売を行っている。要するに、海外ブランドとの直接取引をしていることになる。

①②の場合は、海外ブランドとの直接取引はなく、生機を生産していることなので、遠州産地に来られても、海外で販売されたテキスタイルの実物は見られないのであるし、著作権は、商社、コンバター、生地問屋になる。ようするに、織物企画、販売は、遠州産地の織物工場がやってないのである。

 

福田織物は、企画、製造、販売まで、自社で海外販売を行っているが、欧米のトップブランに生地売りは、地元ヨーロッパで織れるテキスタイルは、まず購入されないし、染色加工などのテクニカル技術が必要不可欠になる。それから、海外ブランドとのコミュニケーションをしていかなければならない。海外販売は、日本での生地売りとは違い、時間と経費がとてつもなくかかってしまうのが実情である。2019年2月まで、イタリアミラノで展示会を年2回行ってきたが、今年から、2年間、海外展示会は休もうと思っている。要するに、人材が足りないのだ、一からやり直しを考えている。何故なのか、まずは英語ができるだけではダメのである、テキスタイル知識、海外のビジネス知識、コミュニケーション能力も必要になる。生地の、織、加工知識、クリエーション、海外に無いテキスタイルを求められている。最後に輸出するのだが、国内のように簡単ではなく、手続きはたくさんある。それが海外輸出なのだ

福田織物は、2005年に、単独でパリ、ミラノに生地販売を行った。当時は、海外のブランド、シャネル、エルメス、アルマーニ、プラダ程度しか知らず、何の根拠もなく福田織物のテキスタイルは最高だと思って旅経った。パリ、ミラノに滞在している人を紹介していただき、現地のホテルの電話をかけ、アポイントを取ったことを思い出す。今では、日本のテキスタイルは高い評価されているが、初めて行ったフランス人のデザイナーに、「日本はどこにある?」といきなり聞かれた。ヨーロッパは、「テキスタイルの歴史があり、アジアでのテキスタイルを使う必要性はない。」とまで酷いことを言われたが、福田織物の生地を見てから、数分後には、180度状況が変わり、このようなテキスタイルは、ヨーロッパに無いと言われ、数十メーターだが、購入してくれた。この小さな自信と体験が、海外販売のきっかけになった。その後、ミラノのジェトロ主催の展示会で2008年~2010年、綿工連との合同展示会に出ることになる。ここでは、ビジネスには、なかなか繋がらなかったが、ミラノのアパレルに、少しながら福田織物のファンができてきた。その時のブランドは,CCPだった。掛川にある弊社にも足を運んでくれた。

2014年~2019年まで、ミラノウニカに出展を行い、エルメス、アルマーニなど、たくさんのブランドとのビジネスが展開された。テキスタイルは、日本では絶対売れないようなもの、難易度が高い物が売れ、生地生産や染色加工の要望も高く大変苦労している。しかし、その後、エルメス、アルマーニの企画スタッフとはフレンドリーになれたことが、私にとって一番だった。まだまだ、テキスタイル企画は、見果たせない夢、世界一のシャネルをターゲットとして、さらに、レベルの高いテキスタイル作りを行っていけなければならない。遠州織物の伝統技術を継承して、さらに、アップデートを行いながらクリエーションをしていく。福田織物の人材育成を強化して、それを支えて下さる遠州産地の染色加工の職人と一緒に日本テキスタイルを世界に売る

時間と経費は、とてつもなくかかるが、諦めずに、世界の福田織物を目指していきたい。