【backyard column39】織物組織図について②綾織り
2020.11.02
こんにちは
バックヤードの山本です。
11月に入りました。今年もあとわずかですね。
最近は先日の浜松工業技術センターでの講習の実践復習が早速必要になるような
生地の設計調べや生地企画を社長や工場長に教えてもらいながら
少しずつ携わっています。
本日はその流れもあり、以前書いた
backyard column16 織物組織図について①平織り
の続きというわけではないですが、
綾織りについて書きたいと思います。
自分もまだ実践と基礎知識、定義を
往復しながらの勉強中なので
正式な定義のような内容はまだまだ書けませんが、
(綾織りってこういう感じの織物なんだ〜!)
(織り組織おもしろいな〜)
(お気に入りの服の生地、綾織りだった!)
など感じるきっかけになって頂けたら良いなと思います。
平織りと比べて、綾織りは糸の交差部分が斜めになるのが特徴です。
1番身近なものだと、デニム!
デニムの生地をよーく見てみると糸の交差で斜めの
模様のような織り目が見えるかと思います。
綾織りは、斜文織り、ツイルとも呼ばれることがあるそうです。
平織りに比べると摩擦など強度に少し欠けますが、
光沢、柔軟性、シワがよりにくいのが特徴です。
また、糸の密度を高くして地厚な生地を織ることもできます。
それには織り組織が関係しています。
綾織りの組織図
↓タテ糸を黒、ヨコ糸を白とした組織図です。
マス目を数えてみると、平織りはタテとヨコの割合が1:1なのにくらべて
2/1綾織りはタテの割合が多くなっています。
綾織りは、平織りのようにタテ糸・ヨコ糸が
常に一本ずつ交互に組まれて行く織り組織とは違い、
(詳しくはコラム織物組織図①平織り)
タテ糸が複数のヨコ糸をまたぎ、ずらして
織ることで斜めの織り目になっています。
よーく平織りと比べて見ると綾織りは糸が交差する点が少なく、糸を浮かせる部分がおおいことがわかります。
タテ綾とヨコ綾
綾織りにはタテ綾、ヨコ綾があります。
これは生地表の面で、タテ糸が上に多く浮いているのか。
ヨコ糸が上に多く浮いているのか。ということです。
↓分かりやすいように、
今度はタテ糸が白・ヨコ糸が赤を想定して色分けしてみました。
タテ糸が多く浮いている綾織り
ヨコ糸が多く浮いている綾織り
そして、この「2/1」や「1/2」ですが見方は↓こんな感じです。
(↑ タテが黒、ヨコが白の組織図です)
例えば2/1綾の場合は、タテ糸2本、ヨコ糸1本の順に浮いているタテ綾織のこと。
1/2綾はタテ糸1本、ヨコ糸2本の純に浮いているヨコ綾織のことです。
その他にも斜めの織り目が左に向かってあがっていくのが「左綾」
右に向かってあがっていくのが「右綾」です。
あとは下記の写真の織り組織図資料のように、
綾織りには沢山の種類があります…!
backyard column08 テキスタイルデザイン 先染め企画を振り返る
↑以前こちらのコラムで書いた先染めボーダー企画、
ベースは平織りの企画だったのですが、
実践や生地企画の勉強もかねて、平織り以外の織り組織も何種類か試して織りました。
同じ経糸、緯糸でも織り組織を平織りから途中で綾織りにしてみると、
生地の風合いが全く変わりました。
綾織りにしたところはやはり糸の浮きがあるので、
しなやかさがあり。平織りはパシッと。
綾織り平織りの種類自体は
大学のころ勉強して理解していましたが
現場で実際に織機を動かして、織り上がる生地を実際に触り、平織り、綾織りの
本質的な違いのようなものというか、、
(組織だけで全然風合いや見え方がかわるんだ!)
と体感しました。
そしてもう一つ面白かったこと。
このボーダー企画は、タテ糸は全部晒しの白。
ヨコ糸に先染の色糸をつかっているため、織るとヨコ糸の先染の色糸はタテ糸の白と
混ざって少し薄くなるような見え方をします。
(分かりやすいよう例えると、原色の濃い絵の具に白い絵の具を混ぜて色を少し薄くするような感じです。)
このボーダー企画をやるときに、
(ヨコ糸の色を強くだしたいなあ)と思い試織してみたのがこちらです。
↓
平織りと1/3ヨコ綾の組織。
もちろん同じ織物、同じ赤い糸で織っています。
ヨコ糸に先染めを使っているため、ヨコ綾の組織のほうが、赤色が強く出てます。
先程の色分けした織り組織図のように、生地表面にヨコ糸が露出している面積が
多いので平織り組織と比べてこのように色が濃く見えます。
(こちらは1/3綾なので、1/2綾よりもよりヨコ糸露出面積が多いです)
そしてこのヨコ綾での試織を応用して、
綾織り以外の変形組織などもミックスして
つくったものが
backyard column12 コクヨのノートから生まれたストライプ柄とドビー組織
のボーダーストライプ ドビーverです。
↑左が平織り、右がドビー組織verです。
刺繍を施したような糸色の濃さや、
立体感をだしたいなあと思って挑戦してみた試織です。
(織りプログラムの打ち込み、わけわからなくなってしまいめちゃくちゃ奮闘しました)
織り組織って面白いなあ、と本当に思います。
織り組織を追求していけるのもドビー織りの魅力だと思っています。
最後は少しそれてしまいましたが、
私なりの綾織り組織の紹介でした。
生地を選ぶときに、織り組織にこだわってみるのも
面白いかもしれません。
私は手持ちの気に入っているスカートの
生地を見返してみると綾織りの生地が使われていることが多かったです。
福田織物の生地のオンラインストアでは、
どんな組織で織っているのか、なるべく説明で
いれるようにしているので是非気になったら見てみてください。
現在掲載しているおすすめの綾織り生地の
リンクはこちらです。
今後も織り組織の説明など、もっと専門的な内容を
書いていけるよう私も日々勉強します。
次の織り組織シリーズは二重織りについて書いてみたいな
と思っているのでまた勉強して更新したいと思います。
それでは次回は木曜日に更新します。
山本
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